入れ歯
◆ 金属床義歯
義歯を使用しはじめてから、どれくらい経ちましたか?
義歯で噛むのは自分の歯で噛むのとちょっとちがいますよね。
自由診療の『金属床義歯』は、
そんな皆様の『夢』をかなえます。
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この義歯は健康保険を利用して作製された義歯です。
物を噛み砕くという目的だけなら、この義歯でも十分に食事をとる事が出来ます。 |
同じ義歯を違う角度から見た状態です。
バネに付属物、これに加えて、上顎を左右に走るプラスチックには結構厚みがあります。
実際に計ってみると3~4㎜ありました。
人工歯部分の形はヘンですね。
実はこれもスマイルデンチャーのページでお見せしたのと同じで、顎関節症の治療のために、奥歯の高さを持ち上げたためです。
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何か話そうとすると、上顎を左右に走るプラスチックと付属物に舌が引っかかって話づらい事この上ありません。
食事を取ろうとすると、上顎を左右に走るプラスチック部分には、食べ物の温度が伝わってきませんので変な感じです。
異物感が強く、これを我慢するのも一苦労です。
お聞きしてみると、食事の時以外は外しておられたそうです。
何よりも、食事の時が一番うっとおしかったそうです。
そこで、何とかしなくてはと考え、金属床義歯を作製する事にしました。(自由診療)
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まず、義歯の骨格部分にあたる『床』をチタンを使用して、平均の厚み1㎜で作製しました。
この『床』の部分が広ければ広い程、噛む力が強くなり、狭くなると、良く噛めません。
この症例では、以前お使いの健康保険を利用して作製された義歯よりも『床』の面積を広く設計しました。
厚み自体が薄く、生体に馴染みが良いため、『床』の面積を少々広くしても、異物感が強くなることはほとんどありません。
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この状態で『咬合採得』(噛み合わせを取る事)を行います。
入れ歯に使用する人工の歯は、保険で使用するものではなく、特殊な『硬質人工歯』を利用します。
はぐきに相当する部分にピンク色の蝋を盛り上げて、この『硬質人工歯』を蝋の上にきれいに並べて、患者さんのお口の中に実際に試適して、高さや適合性に問題がないかを丁寧に調べます。
十分に調整を行なったあと、入れ歯を作り上げます。
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左の写真が新しく完成した、
『純チタン床部分義歯』です。
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右の写真は裏側から見たものです。
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この義歯を装着直後、患者さんが『気持ちがいい!!』とおっしゃいました。
また、初めて装着した時の違和感もほとんど気にならないとの事で、後で調整の為に来院された時に
『違和感が殆どないので、起きている間は装着したままで、時には口の中に入れ歯が入っている事を忘れていることがある。
入れ歯がはぐきにピッタリと馴染み、食べ物の温度もほぼ直接伝わってくるので、温かいお料理は温かく、冷たいデザートは冷たく感じられ、とてもおいしく食事が出来る。』
と嬉しそうに言われたのを聞いて、一番嬉しかったのは私自身だったのではないかと思います。
『歯医者になってよかった!』と充実感を感じた瞬間でした。
さて、次のこの入れ歯の写真は、ある患者さんが違和感が強くて使いづらいのでなんとかならないかとの事で当院を受診された方が使用していた入れ歯です。
拝見してみると、健康保険を利用して作製されたものです。 確かに入れ歯の付属物が多く、違和感の強そうな入れ歯です。
何と申し上げて良いやら、言葉が見つかりませんが、学問的に考えてみると、違和感を少なくしようとして入れ歯の大きさを小さくしたために『部分床義歯学』の基本的な部分が十分に考慮されていないといった感じの義歯です。
歯の無い部分がかなりあるのに、はぐきに接する『床』の部分の面積が狭すぎます。
これでは、まともに噛む力が出ません。
しかし、この患者さんは、『入れ歯』に対する違和感がとても強く、発音がうまく出来ないために、作ってもらった歯医者さんに頼んで、気持ちの悪い部分をどんどん削ってもらったそうです。
入れ歯の違和感が『強いストレス』になり、もう数年来悩んでこられたそうです。
このように『入れ歯の強い違和感』は人間の精神にまで影響を及ぼします。
世の中には、何回入れ歯を作ってもらっても、馴染めずに、入れ歯を装着しないまま食事をなさっていらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。
私には歯の欠損がありませんので、正直に申し上げまして、義歯をつかって物を噛まなくてはならない患者さんの真の苦しみを理解できないと思います。
しかし、私は学生時代に、歯の矯正治療を受けました。
そのとき、入れ歯のピンクのプラスチック部分にバネが付いた装置をほぼ1年半に渡って装着した事があります。
担当の矯正の先生に、その装置を装着してもらった時の違和感の凄まじさは今でも決して忘れません。
ほぼ、2週間に渡って、訳の解らない『頭痛』に悩まされました。当時の私は装置の重要性を十分に認識しておりましたので、吐き出す事も出来ずに、悶々とした日々を過ごしたのを良く覚えています。
夏休みになり、帰省して直ぐに父に相談して、この装置を金属床義歯を応用したものに作り変えました。
歯の型取りから、技工操作、鋳造、研磨に至るまで、全て自分の手で行ないました。出来上がった装置を自分の口の中に装着した時の『爽快感』もまた、忘れる事の出来ない思い出です。
さて、話を元に戻します。
この患者さんとも十分に話し合った上で、費用はかかりますが、自費治療で金属床義歯を作製いたしました。
右の写真が、この患者さんに作製した、『純チタン床部分義歯』です。
今までお使いの健康保険で作製された義歯よりも『床』部分を広く設計して、噛み合せる力も十分だせるようにしました。
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左はこの義歯を後ろから見た写真です。
出来るだけ薄く、付属装置にも違和感が最小限になるように設計しました。
チタン部分の厚みは平均1㎜です。
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このように『金属床義歯』は残っている歯の数に係わらず、たった1本の欠損歯の義歯から、総義歯まで自由自在に設計することが出来るという利点があり、応用範囲が広いのが特徴です。健康保険が適用されないので、費用がかかるのが欠点と言えます。
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