山形屋歯科 坂上医院
山形屋歯科 坂上医院 099(225)3789

白くならないホワイトニング




◆ 何故ホワイトニング治療を受けても思ったように白くならなかったのでしょう?

 当院を、ホワイトニング治療希望で受診される患者さんの中に、

『以前、ホワイトニング治療を受けたのに、歯が全然白くならなかった。』

と嘆く患者さんが多いのにはいつも驚かされます。

 原因を良く追及してみると、ホワイトニング治療を受けたのに、歯が全然白くならなかった皆さんは、ご自分の歯が白くなる前にホワイトニング治療を止めてしまっているケースが殆どです。


◆ 白くならないホワイトニング治療


 自分の歯が白くなる事を期待してホワイトニング治療を受けたのですが、担当の歯科医師からは、

『随分白くなりましたね。』

と言われても、自分では納得のゆかない患者さんがいかに多い事かと、いつも残念に思います。

このような不幸な患者さんを一人でも少なくしたいと考え、数年前に


 『ホワイトニングの最新知識と治療の受け方』(桐書房)

を執筆いたしました。

 一般の皆さまにホワイトニングという治療を丁寧に解説し、十分に理解して頂いた上でホワイトニング治療を受けて頂く事が一番大切だと考えたからです。

 しかし、残念な事に、白くならないホワイトニング治療を嘆き、歯科医師に対する
不信感をつのらせる患者さんは一向に減る気配がありません。

 そこで、当院を訪れ、以前受けた『白くならないホワイトニング治療』に関して、切々と訴えられる患者さんの言葉から、多くの知識を得ることが出来ましたので、これらを踏まえて、どのような治療を受けたら良いのか、普段から感じている事を述べてみたいと思います。


◆ ホワイトニング治療により歯はどれくらいの期間で白くなるのか?


 歯がホワイトニング治療によって白くなってゆくメカニズムについては『ホワイトニングのメカニズム』のページで詳しく解説致しました。

 それでは、ホワイトニング治療を受けた際の、歯の色の白くなり方(どのくらいの期間でどのくらい白くなるのか)について、歯の色の系統別に解説してみたいと思いますが、その前に写真1をご覧下さい。


写真 1
 写真1は、40代男性で、
元の歯の色はB3でした。

 治療の成果を検証するために、
ホワイトニング治療が半分程度
終わった頃
に撮影したものです。

 ちょっと見た目には、結構白く清潔な感じのする歯です。

 しかし、肉眼で見るとまだまだ黄色い感じの歯で、お世辞にも『白い!』とは言えない歯です。

 私はこの写真を、特に工夫する事などせずに、デジカメで普通に撮影しました。

何故、写真に写ると白くみえるのでしょう?

このホームページを順番に読んでこられた皆さまには、何故写真に写ると白くなるのかという件について思い当たる事がありますね。

 そうです。『ホワイトニングのメカニズム』のページでご説明致しました『マスキング効果』が思い浮かびますね。

 
この白さは、『マスキング効果』以外では説明がつかないと考えられます。

 写真を撮影した時のフラッシュの光が、歯の表面にあたり、大量の光が歯の表面で乱反射を起こした結果 歯が白く見えていると考えるのが自然ですね。
 その事を裏付けるかのように、同じ条件で私の歯を撮影すると、歯はすべてつながって真っ白く塗りつぶされた様に 写ります。

 これは、写真の患者さんの歯の『マスキング効果』が、私の歯のものより弱いと考えるとすべて筋が通り、納得できますね。

  私の歯は、数年前からホワイトニングを行い、丁寧に管理しながらタッチアップを繰り返してきたものです。 歯の表面の『マスキング効果』は限界に近い状態で維持されています。

  この患者さんは、最終的にB1の明度まで上がり、とても白い歯になって『ホワイトニング治療』を終了しました。 私は、ホワイトニング治療の結果、最終的に『マスキング効果』が限界に近い状態にまで導けたのではないかと 考えています。

 『歯はどれくらいの期間で白くなるのか』という事は、言い換えれば
『歯の表面はどれくらいの期間で、限界に近いマスキング効果を獲得できるのか』という事になりそうですね。


当院では、現在、ほとんどの患者さんにデュアルホワイトニングで治療を受けて頂いております。

 その経験から、歯の色の系統と白くなってゆくスピードにある程度の関連を見つけました。 表2がその傾向を表したものです。

表 2

 縦軸が白さ(明度)を表し、横軸が時間の経過を表します。

 表を見ると、A系統の色が早く白くなり、一番手間のかかるのがC系統ですね。

  それでは、各系統の色の白くなってゆく経過につきお話してゆきましょう。

  但し、歯の表面構造や年齢といったホワイトニングに影響を及ぼす他の要因は全て同じであるとの仮定で話を進めてゆきます。

         

◆ A系統の歯のホワイトニングに対する反応

表 3

 表3に示す通り、『A系統』の色の歯は、全体として黄色味を帯びた単色の歯で、ホワイトニング治療に良く反応して、 比較的短期間で白くなってくれます。

 しかし、短期間で大きく変化した状態は、生体の持つ『恒常性』により、早期に元の状態に戻ろうとする反応が 見受けられます。

 

速く白くなった歯は、色の後戻りも早期に起こる傾向があるという事になります。

 これは経験上の感想ですが、1回のオフィスホワイトニングで10シェード以上も明度が上がったような歯に限って、 翌週まで毎日ホームホワイトニングを行っていたにもかかわらず、シェードが少し落ちて暗い色になりやすいと 感じています。

  これは『A系統』の色の歯が宿命として持っている性質で、歯科医はこの事を熟知して『A系統』の色の歯のホワイトニング治療に当たる必要があると感じます。

  『A系統』の色の歯の治療に当たっては、主に色の後戻りを丁寧に観察しながら、限界のマスキング効果が得られるように、丁寧なホワイトニング治療が望まれます。

  『A系統』の色の歯の患者さんのホワイトニング治療を行いますと、直ぐに白くなってくれますので、患者さんからは 大変喜ばれます。

 しかし、歯の色の戻りも速いので、その事を患者さんにしっかりとお伝えして、限界のマスキング効果が得られるまで 頑張ってホワイトニング治療を受けて頂いております。



◆ B系統・D系統の歯のホワイトニングに対する反応

表 4

 B系統の歯は全体として黄色く、歯ぐきとの境目が濃い黄色またはオレンジ色のツートーンカラー、D系統の色の歯は全体として黄色く、 歯ぐきとの境目がグレーのツートーンカラーです。

  これらのB系統・D系統の色の歯のホワイトニングに対する反応は似通っており、だいたいの反応は表4に示したように変化してゆきます。

  歯と歯ぐきとの境目の色がなかなか白くならず、強情なケースでは最後まで消えずに薄く残る事もあります。

 但し、適切なホワイトニング治療の後には、歯全体の明度が上がるため、最終的に気になる方はおられない様です。

 『B系統・D系統』の色の歯は、ホワイトニング開始後しばらくの間は、思ったほど歯の明度が上がりません。

 患者さんにしてみれば、


『毎日頑張るのに一向に変化が無いなぁ・・・・。』

と張り合いの無い日々がしばらく続く事になります。

なぜ、このような時期があるのか、良くわかりません。

 しかし、やがて急速に明度・彩度ともに上がる時期がきます。 この時期が最も大切で、白くなったからと安心せずに、患者さんを激励しながら確実にホワイトニング治療を進めます。

 
そして最終的には、歯の明度もB1・A1といったかなり白い色に近づき安定してきます。

         

◆ C系統の歯のホワイトニングに対する反応

                      

表 5

 C系統の歯は、全体がグレー(灰色)の単色の歯で、
最もホワイトニング
治療が困難な歯

です。

 しかし、C系統の歯の方は、ご自分の歯に絶えず劣等感を持ち、いつも『何とかしてあげたいな』と考えたくなる 様な色の歯です。

  まず、C系統の色の歯の方には、ホワイトニング治療に限界があることをお知らせします。

  限界があると言っても、頑張ってホワイトニング治療を続ければ、だいたいA2程度の明度にまで白くなりますので、 治療終了後には、全員の患者さんに満足して頂いております

 ホワイトニングに対する反応を観察すると、すこしづつではありますが、確実に明度が上がってきます。  


◆ ホワイトニング治療を受ける歯科医院の選び方


優れた歯科医師の条件としては、次のような事が考えられます。


① ホワイトニングについての豊富な知識を持っていること。

 

② あなたの歯の性質について詳しく説明できる能力があること。

 

③ 歯科医院でのホワイトニングの治療方針を明確に示せること。

 

④ ホワイトニングの料金の見積もりをきちんと示せること。

 

⑤ ホワイトニング治療中・治療後の歯磨き等の歯の管理について十分な説明が出来ること。


⑥ あなたに合った適切なホワイトニング治療をしてくれること。



 

 

これらは、よく考えてみれば、すべて当たり前のことです。

 しかし、ホワイトニングのメカニズムにはまだ解明されていない部分もあります。

 実は、ホワイトニングは、ここ20年ほどの間に急速に発達してきた技術です。 現在でも、大学の歯学部ではホワィトニングの講義は、ほとんど行われていませんし、専門の講座もとても少ないのが実態です。

 文献や専門書籍も少なく、ホワイトニングの基礎知識と技術の習得には大変苦労します。

  ホワイトニングのときに、人によっては治療中に痛みを訴えたり、後から知覚過敏が出たりす る場合がありますが、なぜ人によって違いがあるのか、不都合な症状が出ないようにするにはど うしたらよいか、また不幸にして不快症状が出てしまったときにどう対処するかということについ て、きちんと勉強している先生に見てもらう必要があります。

 このようなことも含めて、トラブルを事前に回避できる力量のある歯科医師に治療してもらうの がベストです。  

 では、どうすれば優れた歯科医師を見分けられるのでしょうか。  

 
それは簡単なことです。

 ホワイトニングの治療を受ける際、いろいろと詳しい相談をしてみてください。

 そのとき、よく勉強している先生ならば即座に納得のいく説明をしてくれるはずです。

 

『白くならないホワイトニング』では話になりません。 お小遣いの無駄使いになるばかりでなく、精神的な落胆も大きなものとなります。



 このページを読んで下さった皆様には、是非ホワイトニングについて勉強して頂き、信頼出来る歯科医師の元で治療を受けて頂ける事を心より祈念いたします。



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