ホワイトニング治療の当院での症例
◆ 当院での症例
右の写真は、ホワイトニングを始める直前のものです。
2週間程前にPMTCが事前の処置として行なってあります。
写真の向かって左上の矢印の歯は、当院で装着したメタルボンド冠(審美歯科のページ参照)です。
作製したメタルボンド冠のシェードはA2です。
ホワイトニングの希望がありましたので、初めから少し白い色で作製いたしました。
※PMTCとは
プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニングの略。P・M・T・Cは予防歯科学の発達しているスウェーデンのDr.アクセルソン博士によって提唱され、行われているクリーニングシステムです。
歯科医師、歯科衛生士などの専門家により、さまざまな器具とフッ化物入りペーストを用いて、歯の隅々まで丁寧に清掃します。
さて、この患者さんの所見と、治療中に私が考えた内容について、
順に見てゆきましょう。
年 齢 |
30歳(若いのでホワイトニングの効果が早く現れそう!) |
性 別 |
男 性 |
性 格 |
真面目で、物事に熱心に取り組んでくれそうな性格
(これはホーム ホワイトニングやデュアルホワイトニングに最適な性格であると判断) |
歯の色 |
A4とC4の境目くらいで、極端に黄色みが強い |
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さて、ここが問題になる部分です。
この歯の色がA4なのかC4なのかで、ホワイトニングの治療方針もその後の状態も全く異なったものとなります。
ここで、診断を誤ると適切な結果になりません。歯科医師の技量が試される場面です。
この段階での診断は
『C4に近いA4で、本質的には極端に黄色みが強いA系統の色である』
としました。
この段階でこの診断が誤っていれば、今後この患者さんからの信用を失うのは確実です。 |
歯の外観 |
に縞模様などはなくホワイトニングには問題ないと思われました。 |
歯の大きさ |
顔の輪郭に対しての歯の大きさは普通程度で、ホワイトニングには問題ないと思われました。 |
変色原因 |
問診により遺伝的なものであると推察されました。 |
歯の表面の性状 |
歯の表面は滑沢であり、ホワイトニングの効果が期待されます。 |
その他 |
エナメル質形成不全などは認められず、ホワイトニング予定の歯の虫歯の治療はほぼ完了していました。
これによりホワイトニング治療に影響を及ぼす因子はほとんど認められないと判断しました。 |
【 治療方針 】
当院設定の (旧)デュアルホワイトニングプラン A
[ホワイトニング料金]のページを参照
現在では、4回ではなく、6回程度行うようにしております。その方が後の維持管理が楽になるからです。
このプランは、
まず始めにオフィス ホワイトニング1回を行い、ある程度いっきに白くしてから、約1週間のホーム ホワイトニングを自宅で行ないます。
その後、来院して頂きオフィス ホワイトニングを1回おこないます。
そして、残りのホーム ホワイトニングを自宅にておこないます。
最後に来院して頂き、効果の評価を行ないます。
治療方針決定の根拠 |
この患者さんのホワイトニングのポイントは、歯の色のみであると考えました。
問題は本当にA系統の色なのか、それともC系統の色なのかの1点に絞られました。
さらに、歯の黄色みが強い事を考慮すればオフィス ホワイトニング単独よりデュアルホワイトニングの方が結果が早く出るし、もしC系統の色であった場合には、後から治療方針の変更が楽です。
さらに、患者さんには『もしC系統の色で、思うように色が白くならなかった場合には、2週間分のホーム ホワイトニング剤の追加と1回のオフィスホワイトニングを追加料金なしで行なう』旨を告げ、快諾を得て治療の開始となりまた。 |
◆ 一回目のオフィスホワイトニング後の結果
左の写真は1回目のオフィス ホワイトニング直後のものです。
シェードは8明るくなってC2まで明るくなりました。
当初の私の診断は間違いではなかった様で、ほっとしました。
やはりA系統の色だった様で、A系統の歯の色独特の急速なシェードアップです。
この後、患者さんの都合で2週間後の予約を取りました。
その間、1週間に5日間程度のホーム ホワイトニングを自宅で行なって頂くように助言して帰宅してもらいました。
次回は、10日間(約20時間)のホームホワイトニングが終了した段階で来院して頂ける事になります。
初めてのホワイトニングでしたので、効果の急速な後戻りが予想されます。
これをホーム ホワイトニングで阻止して、あわよくば、さらなるシェードアップを期待しようという計画です。
◆ ご自宅でのホームホワイトニングの感想
1回目のオフィス ホワイトニング後に、私の指示通りに1週間に5回のホーム ホワイトニングを、御自宅で行なわれたそうです。
初めの内はマウストレーに盛るホームホワイトニングジェルの量が良く分からず、ジェルがお口の中にはみ出して不愉快な思いをされたそうですが、直ぐに適量を把握することが出来てホーム ホワイトニングは順調だったという事でした。
また、初めの頃に若干の知覚過敏症が発現したそうです。息を吸った時、前歯がちょっとしみるかなと言う程度のもので、日常生活には何の支障もなかったそうです。
この知覚過敏症も直ぐに治まり、後半はほとんど何の支障もなくホーム ホワイトニングを行なう事が出来たそうです。
この知覚過敏症は予想の範囲でした。あらかじめ、知覚過敏症が起こった時には、お渡ししてあるリカルデントを使って『リカルデントパック』を30分程度行なって下さいとお話しておいたのですが、その必要も無い程度の知覚過敏症だったようです。
こうして、無事10回(20時間)のホーム ホワイトニングを終了して、2週間後に来院されました。
◆ 二回目のオフィスホワイトニング
さて、約束の日、嬉しそうな笑顔で来院されました。
果たして、私のもくろみ通り、さらなるシェードアップがあったのかが、一番の気がかりでした。
早速、ビタシェードを取り出して、歯の色を調べてみました。
残念ながら派手なシェードアップは認められませんでしたが、シェードはC1で1シェードアップに留まりました。
通常、ホワイトニングが始めての場合には、シェードの急速な後戻りがあるものですが、とにかく、この患者さんの場合には、ホーム ホワイトニング成功と評価できます。
その後、2回目のオフィス ホワイトニングを行ないました。
右の写真は、2回目のオフィス ホワイトニング後のものです。
シェードは、6シェードアップしてB1(ビタシェード上では一番白い色)にまで明るくなりました。
但し、これは私の感でしたが、なんだか白さに力が無い(変な表現ですが)ような気がしました。
このままでは、後戻りしそうな気がして心配でした。
ここで、一番上の写真と見比べて下さい。
当院で装着した、メタルボンド冠がどの歯であるのか区別がつかなくなっているのが良くお分かりの事と思います。
この後は、御自宅で、残りのホーム ホワイトニングを行なって頂ければ終了なのですが、私の心の中で、なんだか不安定な歯の色に一抹の不安を隠せません。
そこで、患者さんに
『残りのホーム ホワイトニングを済ませてからもう一度オフィス ホワイトニングを行ないましょう。』
と申し出ました。
その方が白さに深みが増し、効果も長持ちすると判断したからです。
患者さんは、快く私の申し出を承諾して下さり、帰宅されました。
1週間後に来院された時、私の『胸騒ぎ』が的中していました。
◆ 仕上げの三回目のオフィスホワイトニング
2回目のオフィス ホワイトニング終了後、御自宅で残りの4日間(約8時間)のホーム ホワイトニングを終了して、1週間後に再び来院されました。
私が心配していた通り、C1だった歯の色が1シェード後戻りして、A1になっていたのです。
早速、仕上げの3回目のオフィス ホワイトニングを行ないました。
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左の写真が、仕上げのオフィス ホワイトニング後の写真です。
色も落ち着き、シェードもB1に戻ってメデタシ・メデタシです。
これで安心して患者さんを帰す事が出来ます。
最終的には今後の事を考え、さらにもう一週間のホームホワイトニングと最終のオフィスホワイトニングまで行いました。
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さて、この後ですが、この患者さんは男性です。
別に差別する訳ではありませんが、このB1という色は、若い男性の歯の色としては、若干白過ぎます。
平均的に考えて、若い女性の場合でさえ、A2程度の色で、十分見た目に好感の持てる歯の色です。
この患者さんと相談しまして、『今後はA1からD2程度の色合いを維持して管理しましょう』という事で、坂上流秘伝のタッチアップ法を伝授させて頂き、今後の健闘をお祈りして、私自身も患者さんも大満足で治療を終了致しました。
◆ 真剣にホワイトニングをお考えの皆様へ
この写真は、初診時の状態と、治療終了時のものです。
今まで述べて来たように、元の歯の色、並びに歯の性質を十分に診断して
適切な治療方針でホワイトニングをおこなえば、ホワイトニング治療の欠点である
施術時の痛みを可及的に少なくして、歯を確実に白くしてゆく事が出来ます。
白くならないホワイトニングはホワイトニングではありません!
ここに紹介させて頂いた症例は、実は比較的難症例に属する症例です。
私がお手伝いさせて頂き、患者さんが一生懸命ホワイトニングに向き合って努力された結果です。
お読みになって、御理解頂けたと思いますが、本当に真剣に頑張られますとわずか3週間程度でこのような素晴しい結果が生み出せます。
勿論、症例によっては当院においで頂いて、オフィス ホワイトニングだけで、輝く白い歯を手に入れる事の出来る方も沢山いらっしゃいます。
色々な条件次第では、もっと早く白くなったり、もっと時間がかかる事がある事も御理解頂けたと思います。歯の色によっては『目標の白さ』が若干シェードの下がったものになる場合もあります。(特にC系統の色の歯)
仮に、あなたの歯の色がC系統の色であったとしても、 かなりの白さにまで改善され、見る人に爽やかな印象を与え、好感を持たれる歯の色にする事が可能である事の方が多いと考えます。
(もし、あなたの歯が一番暗いC4だったとしても、適切な診断と適切な治療方針でホワイトニングが行われれば、A2~B2程度まで白くする事が可能です。)
そのために、当院ではさまざまなプランを準備させて頂いております。
参考までに、この患者さんが当院に支払われた料金は、初めに支払われた105,000円(この時は『新春ホワイトニングキャンペーン料金』で治療させて頂きました。現在はこのプランは115,000円です)のみで、追加料金は頂いておりません。
皆様、おひとりおひとりの御希望に耳を傾けながら、適切であると考えられる方法を幾つかご提示させて頂き、最も良いと考えられる方法を皆様と相談しながら行なってゆきたいと思っております。
この次は、御自分の歯の色に悩まれ、このページをご覧にになっている、
あなた にお会いできる事を楽しみにしております。
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