いびき・睡眠時無呼吸症候群
◆ 睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?
2003年の山陽新幹線の運転手の居眠りが原因で、駅のホームでオーバーランを起こしてしまったという事件はまだ記憶に新しい事と思います。
その原因が「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」であったということが報道され、この病気があらためて注目されています。
さて、左の表は医科の病院から当院へ患者さんの睡眠時無呼吸症候群の歯科的治療を依頼された時に添付されていた資料の一部です。
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0:00からの1時間の無呼吸数70回
5:00からの1時間の無呼吸数75回
ここで言う『無呼吸』とは無呼吸持続時間が10秒以上を計測しています。
この患者さんの他のデータでは、
一晩の無呼吸回数378回、
無呼吸指数46.3回/時、
最大無呼吸持続時間53秒
となっており、
『重症の睡眠時無呼吸症候群』
という診断になっていました。
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無呼吸が始まると睡眠が浅くなります。
中途覚醒状態が増加して、深い睡眠が減少して、浅い睡眠が主体となります。
結果として睡眠の質が悪く、熟睡感が得られません。
1時間の無呼吸数70回となると、1分も経たないうちに起こされ続けているのとあまり変わらない気がしませんか?
この事から考えると、この患者さんはきっと生きているのが辛いという状態だったのではないかと容易に想像できます。
実は私自身にも、かつて睡眠時無呼吸症候群がありました。
初めて、自分で作製したスリープスプリントを口の中に装着して寝た翌日、 「久しぶりに良く寝たなぁ!」
と頭がスッキリしていたのに感激したのを今でも良く覚えています。
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睡眠時無呼吸症候群では昼間は呼吸が正常ですが、眠りに入ると間もなく、呼吸停止を繰り返します。
呼吸停止は10秒から20秒も続き、中には1分以上も止まったままの人もいます。
これは眠るとのどの筋肉の緊張が低下し、舌根部が下に下がり空気の通り道(気道) が狭くなり、窒息状態となるためです。
それに続いてあえぐような呼吸が再開され、いびきが発生します。
こんな呼吸を一晩中繰り返しますので、どうしても眠りは浅くなり睡眠不足となります。
つまり昼間はとっても眠い、という訳です。
不思議なことに、こんな睡眠中の呼吸障害があっても、当のご本人には全く自覚がありません。
模式図を使って説明しましょう。
いびきをかいている状態では、図の様に舌が喉の奥まで落ち込んで気道を塞いでしまいます。
でも、呼吸を止めるわけにはいかないので、無理に呼吸しようとすると気道が狭くなった場所が振動して、いびきをかいている状態になります。
このように、上気道が塞がれると、その場所によっては無呼吸を引き起こす原因になります。
それでは、『睡眠時無呼吸症候群』では具体的にどのような症状がおこるのかを見てゆきましょう。
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