いびき・睡眠時無呼吸症候群
いびきは想像以上に恐ろしいものです。
昔から、いびきは
自分で自分の首を絞めているのと同じ
だと言われています。
『いびき』をかいている時は浅い眠りとなり、
これがさまざまな病気を引き起こす原因にもなっています。
『いびき』を自覚したら、早急に適切な手当てをしておかないと、
そのまま放置した後に起こってくる病気は、かなり重症の疾患が多く、
精神的にも経済的にも重い負担となり、
家庭生活・社会生活に大きな影を落とす原因になりかねません。
スリープスプリント装着によるいびきの防止
ほとんどの場合は、いびきの歯科的治療である
『スリープスプリント』
を装着する事により、簡単に安全にいびきを防止する事ができます。
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このスリープスプリントは標準的な設計で作製されたもので、当院で一番たくさん作製しているものです。
歯周炎のある方は軟らかい材料を使って作製します。
このタイプのスリープスプリントは、まず上下のマウスピースを作製して、調整後、実際にお口の中で直接、下顎が前方に出るように固定して、技工室で最終仕上げを行って装着するものです。
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とても、使い勝手は良いのですが、長期間使用していると、内部が擦り切れて、
いわゆる『ガバガバ』の状態になります。
調整してまたきつくなるように出来ます。
始めの間の違和感さえ克服すれば長く使用できます。
右のスリープスプリントは、私自身が5年近く使用したものです。
初めて、このスリープスプリントを装着して寝た翌朝の爽快感は今でも忘れられません。
当然、現在内部は『ガバガバ』状態ですが、そこはそれ、使い慣れたスリープスプリントです。
上手に口の中で外れないように唇と舌を使って所定の位置にもってくることが出来ます。
使用に当たっては何の不自由も不都合もありません。接着部分に使用した透明レジン(プラスチック)が時間の経過のために変色しています。
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スリープスプリントを装着して寝ている時、一番困るのは
顎が緩んで口が開いてしまい、
スリープスプリントを装着したまま『イビキ』をかいてしまう事です。
標準的に作製されたスリープスプリントでは、時間がたつとこの状態が起こりやすくなります。
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そこで、ちょっと工夫してみました。
このスリープスプリントの上下のマウスピースは2層構造になっています。
内層をソフトタイプのシートを使用して、その外側にハードタイプのシートを圧着させて作製します。
接着もプラスチック(レジン)とソフトタイプの接着材料を使用して、装着感の良いものに仕上げてみました。
使ってみると案の定、装着感がとても良く、口の中にピッタリ適合して、口が開いてしまう事はほとんどないと考えらます。
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私は、現在このスリープスプリントを使用しおりますが、特に問題はありません。
現在では、『いびき防止』としてのスリープスプリントは、このタイプのものを作製してお渡ししております。
これは、なかなか良いですよ!
さて、右の写真のスリープスプリントはちょっと変わっています。
通常、歯周炎のある患者さんには、ソフトタイプのシートを使用して一番上の写真のように標準的に作製します。
この右の写真のスリープスプリントは確かにソフトタイプのシートを使って作製しました。
でも、形がなんとも言えず見慣れないものです。
当然、私のオリジナルです。
このスリープスプリントは歯周炎の患者さんのものではありません。
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実は、夜中にスリープスプリントを噛み締めて歯が痛くなると訴えた、いわゆる『かみしめ』が睡眠時無呼吸症候群に合併している患者さんの装置です。
この患者さんは、下顎を前方に出しますと、奥歯の特定の部分だけが当たってしまい、標準タイプでは『かみしめ』のために、その部分の歯だけが強く当たり困っておられました。
ちょっと見た目には、こんな物を口の中に入れて寝られるのかと考え込んでしまいそうですが、患者さん本人は『かみしめ』も消えて快適にお休みになっておられるとの事でした。
この様にスリープスプリントは、患者さんひとりひとりのお口の中の状態に合わせて、自由にその設計を変更して幅広い対応が可能です。
原則として歯が骨植堅固、または初期の歯周炎の状態であれば、作製可能です。
また、部分入れ歯を御使用の方でも、御相談頂ければ作製可能なケースも沢山あります。
いびきで悩む方は年々増えています。
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いびきは、周囲の人に迷惑をかけ、同室になるのを敬遠される場合も少なくありません。
スリープスプリントは持ち運びに便利ですし、今までいびきをかいておられた方も、周囲の方に気兼ねなくお休み頂けます。
すでに、主治の歯科医の先生のいらっしゃる方は、先生に御相談なさってみて下さい。
当院での作製をご希望の患者さんは、御来院頂ければ、『スリープスプリント』に関する詳しい説明をさせて頂きます。
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■スリープスプリントの重要性
朝、目が覚めにくく、起きた後もしばらくはボーッとしている。
昼食後、やたら眠くなって、仮眠をとらないと午後の仕事がはかどらない。
何事につけても、情熱がわかず、なかなかやる気が起らない。
休日、一日中寝ていても、休み明けに睡眠不足感を感じる。
詳しく後述しますが、これは、私自身がスリープスプリントを使用する以前に実際に感じてした事です。
ちょうど40歳を過ぎた頃の事ですので『年のせいなのかな?』などとのん気な事を考えていて、事の重要性に気づかなかった頃の事です。
家内より、過度のいびきと睡眠中の無呼吸を指摘され、『これは大変だ!』と始めて事の重大さに気づき、早速自分の歯の型を取ってスリープスプリントを作製しました。
スリープスプリントを始めて装着した日は、その違和感からちょっと寝つきが悪かったのですが、翌朝目が覚めた時の爽快感は今でも忘れられません。
以後、上記の様な症状はほとんどなくなり、毎日元気に過ごしています。
もし、あの時スリープスプリントの装着を開始しなければ、今頃は生活習慣病は言うに及ばず、心臓や脳に負担をかけて、きっと通常の生活になんらかの支障をきたすような状態になっていただろう事は、容易に推測できます。
毎年、何回も繰り返される『玉突き衝突事故』は多くの犠牲者を出し、いたましいものですが、その陰に、いびきや睡眠時無呼吸症候群が隠れていたとすれば、事故が起った理由が理解できる様な気がします。
いびき→上気道抵抗症候群→睡眠時無呼吸症候群→生活習慣病・心疾患・脳卒中という図式は、日常の生活の中で、音もなく忍び寄ってきます。
この状態はやがて自分で自分の首を絞める事になるばかりでなく、周囲の人々に大きな迷惑をかける可能性が高い事を意味します。
現在、いびきでお悩みの方は、御自分の将来の事を真剣に考え、早めにきちんとした治療を受ける事が大切です。
いずれにせよ、一人でも多くの方が、将来に不安を抱え、肩身の狭い思いの原因となっている『いびき』の悩みが一日でも早くなくなる事を願っております。
このスリープスプリントですが、睡眠時無呼吸症候群を伴わない
普通の『いびき』に対しては健康保険適応外となっており、
自費治療となります。
医師の診断により『閉塞性睡眠時無呼吸症候群』
と診断されて、歯科的な治療の必要性があると認められ
診療情報提供書により、情報の提供並びにスリープスプリント
の作製依頼が行われた時のみ健康保険適応となります。
それでは、『いびき』の怖さや弊害について、具体的な説明に移りましょう。
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