保険歯科治療
◆ 歯が痛くなったら
歯が痛くなったら歯医者にゆくしかありませんね。
現在、鹿児島市では歯科医師会が休日診療と夜間診療の体制を整えております。
詳しくは『鹿児島市歯科医師会のホームページ』の休日診療・夜間診療のご案内をご覧下さい。
残念ながら深夜11時から翌朝までの、いわゆる『深夜診療』の体制は現在のところ整っておりません。
『歯が痛くなった』と一口に言ってもその原因はさまざまです。
原因とその時の歯痛の状態により、対応の仕方も違います。
このページでは、歯痛の原因・症状と応急処置について述べてみたいと思います。
でも、応急処置でなんとかその場をしのいだら、 すぐに歯医者さんに行って治療してもらいましょうね
■歯痛の種類
特別な種類の歯痛は除外する事にして、一般的な歯痛としては、『歯』が原因で起こるもの、『はぐき』に原因があって起こるものがあります。
一般的な特徴としては、
『歯』が原因で起こる歯痛では鋭痛が多く、『はぐき』に原因がある歯痛では鈍痛が多いことです。
鋭痛とは、かなり鋭い、刃物で突き刺されるような感じの痛みです。
体内に結石が出来たときになどに感じる痛みは『疝痛』(せんつう)と呼ばれます。
歯の神経が原因で起こるこの鋭痛と『疝痛』は、人間が耐え難い痛みの代表とされています。
昔、拷問の際に、歯を削って、この耐え難い鋭痛を与えて、相手に自白させる手段にしたというのは有名な話です。
鈍痛とは、かなり鈍い感じの痛みで、しばしば心臓の鼓動と同調してジンジンと痛み、我慢出来ないことはないけど、非常に気を滅入らせる、うっとおしいタイプの痛みと考えて良いと思います。
もちろん、この『鋭痛』も『鈍痛』も程度が激しい場合には区別がつかなくなります。
■歯が原因で起こるもの
歯が原因でおこる痛みでは『歯髄炎』と『(根尖性)歯周組織炎』が代表的なものです。
歯髄炎では、鋭痛が特徴的で前半と後半で痛みに特徴があります。
●前半での症状の特徴
痛みは時々起こり、歯に加わる刺激に反応します。
特に冷たいもの・甘いものには強く反応します。
温かいものにはあまり反応しません。
痛みは暫くすると治まる場合が多く、これが治療を遅らせる原因になっています。
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●後半での症状の特徴
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歯髄炎の後半では、じっとしていても痛む時間が長くなり、痛みの程度も強くなってきます。
刺激に対する反応としては、前半での痛みとは逆に、温かいものに強く痛みを感じ、冷たいもので痛みが弱くなる傾向があります。
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一晩中痛みが続き、寝られないといった状態はこの時期の痛みである事が多く、実は私自身も経験した事があります。
学生時代に次から次へと襲い来る鋭痛に耐えながら、一晩中苦しみ
『将来、自分が治療するかもしれない患者さんは、こんな状態で痛みをこらえた後で治療にくるんだろうなぁ。』
と自分の将来の仕事に対する責任の重さを感じた夜でした。
■歯髄炎に対する応急処置
前半では、虫歯の部分に詰まった食べかすを丁寧に取り除き、『正露丸』を虫歯の穴に詰めたり、『今治水』(今、痛みを治す水とは、面白い商品名ですね)を含ませた脱脂綿などを虫歯の穴に詰めたりすると、痛みが和らぐ事が多いので試してみると良いでしょう。
痛み止めの飲み薬はあまり効果が期待できませんが、服用してみるのも良いでしょう。
『サロンパス』に代表される湿布薬が痛みを和らげるのはこの時期だけです。症状がこの時期より進むと、湿布薬は逆に痛みを増す事の方が多いと考えられます。
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後半では、虫歯を触るだけで痛い事が多く、虫歯の中の食べかすを全部取り除く事が出来ない事が多いと思います。
できるだけ虫歯内部の食べかすを取り除いたら『正露丸』や『今治水』を試してみると、運が良ければ痛みが和らぐことでしょう。痛み止めの薬もほとんど効果は無いと考えられますが、服用してみれば少しは痛みが和らぐかもしれません。
この時期では、『放散痛』と言って、痛みが起こった次の瞬間に痛みが顔面に広がり、どの歯が痛いのかさえ分からないといった状態になっている事が多く、冷やしても、温めても、何をやっても効果がないのが特徴です。
歯医者が何か手を加えない限り、この時期の痛みを止める事は難しいと思います。
しかし、この耐え難い痛みを数日間我慢すると、ある時急に痛みが嘘のように治まり、あたかも治ったかの様な錯覚に陥ります。
実は、この痛みの治まった状態は、歯の神経の中全体にバイキンが入り込み、痛みを感じる神経自体が死んでしまうために、痛いと感じることさえ出来なくなった状態で、放っておくと、次の病態へと移行して大変な事になりますよ。
初期に感じる、冷たいものに対する反応・甘いものにたいする反応を危険信号と認識できるかどうかが決め手になります。また、急に歯と歯の間に食べ物が詰まるようになったという状態も危険信号です。
これらの症状を感じたら、ためらわずに歯医者に行きましょう。後は、歯医者さんできちんとした説明を聞いて適切な処置を受ければ、治療は一番短期間で終わり、医療費も最小限ですみます。
この時期には、もう歯がボロボロになっている事が多いと思います。
毎食後に歯に詰まった食べかすを舌で取り除くのが大切な仕事になっている事でしょう。
前述の歯髄炎に続いて起こる場合について述べてゆきます。
この(根尖性)歯周組織炎も前半と後半で痛みや症状に特徴があります。
●前半での症状の特徴
前半では、噛むと痛い、歯を押さえると痛いといった症状が始まりのサインです。
この状態が暫く続いた後、次第にじっとしていても痛いといった症状がはじまり、ついには強烈な鈍痛が襲ってきます。
痛みの種類は鈍痛ですので我慢しようと思えば我慢できない事はないのですが、いてもたってもいられないといった状態です。
人によっては熱が38度以上出る場合も珍しくありません。
●後半での症状の特徴
根性で前半を乗り切ると、次には頬が腫れあがります。
見るも哀れな状態です。
でも、この時期には痛みはだいぶ治まっています。
この頃から熱発していた方も、次第に熱が下がってきます。
なんとか、頬を冷やしながら我慢を続けていると数日程度で、この頬の腫れもひいてきます。
しかし、この頬の腫れがひく時期に、今度は原因となっている虫歯の周囲の歯茎が腫れてパンパンに膨れ上がります。うっとおしいと言うか、重たいと言うか、どうしようもない不愉快な感覚です。
それでも、根性のある方はこれを我慢出切る様です。歯茎がパンパンに腫れあがり数日が経つと、その腫れの中心部に穴が空きます。
この、穴から大量の『うみ』が出てきます。
その後、暫くすると、腫れも痛みも無くなり病気は慢性という状態に移行します。そして何かある度に、頬の腫れや痛みを繰り返します。
■(根尖性)歯周組織炎に対する応募処置
腫れに対しては、冷やす事が有効です。
でも『アイスノン』などを直接頬にくっつけて冷やすとかえって治りが悪くなる事が多いようです。
赤ちゃんが熱を出した時おでこに貼るシートタイプの『ヒエピタ』などが無難だと考えられます。
基本的には、氷水で濡らしたタオルを絞って腫れた部分を冷やし、タオルが暖まったらまた、氷水で濡らして絞って腫れた部分を冷やすという動作を繰り返すのが一番良いと思います。
痛みに対しては、痛み止めの薬が効く事がありますので、試してみる価値はあります。
頬が腫れる直前は痛みが非常に強いのですが、残念ながらこの時期には痛み止めの薬の効果は期待できない事の方が多いと心得て下さい。
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